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発端

 水槽維持も順調に行われていたある日、ふと実験したくなりました。
それは、「アクアリウム何故何?の肥料」で紹介したように、園芸肥料による様々なテストです。
その際使用した肥料の1つが表示に「木酢入り」と書いてあるので何も考えず、「こりゃ良い、使ってしまおう」と思い、水槽に直接投入しました。
投入量としては、20cm間隔に一粒程度…。
それから2時間ほどして水槽を見ると水が白くにごっています。そりゃ、大騒ぎってくらい。
そのとき私は、「肥料の成分が出たのかな?」という程度にしか思わず、「しばらくすれば水も透明になるさ」とたかをくくっていました。
 翌日水槽を見ると、霧の中を魚が泳いでいる感じになっていました。
「こりゃいかん」っていうので、水替えを1/3ほど施し様子を見てみる…。
ついでに肥料の能書きを読んでみると「有機養分配合」って書いてある。
「なんてことだ」、有機栄養バクテリアの異常繁殖を招いてしまったようだ。理屈の詳細は「何故何の強い水(餌の与えすぎ)」を見るとわかります。
 翌日・そのまた翌日…白濁は一向に止む気配無し…。
とうとう1週間たっても水は濁ったまま…。
「この肥料は失敗だったな…」と思い水槽を眺めていると、水草の淵の部分に黒い髭上のコケが…。黒髭君、ご対面
いままで経験したことの無かったコケが水槽に出現したのを見たとき、私は何か嫌な」雰囲気を感じました。
「こ、これは噂の黒髭君…」

 ドロドロのアオミドロのコケは、濾過能力を期待して待てば消滅することを知っているので、まずは持久戦に持ちこみます。
1週間、2週間…。
「駄目です」
コケは減るどころか、どんどん他の水草にも乗り移り、ついでに水草も調子が悪くなってきました。
こうなると生態系の破壊です。
相乗効果で「どんどん」悪いほうに転がっていき始めます。
コケが着く->水草の調子が落ちる->そこにコケが着く->ますます水草の調子が落ちる->コケが…。
「えーーーい、もう駄目だ…」
水槽のどこを見ても、コケ・コケ・コケ…。
 それでも、2ヵ月ほどは水替えを適度に施し、常に濾過能力が最大になるように心がけてきましたが、コケは次々に元気な水草を侵食していきます。
侵食された水草は、色を失い、元気を無くしていき、やがて黒髭を残して枯れていく…。
その枯れた葉は水質を悪くしていく…。
どうやら、対策を練らなければニッチモサッチモいかないところまで来たようです。
おまけに頻繁な水替えの影響か、水質悪化かわかりませんがアオミドロのコケも勢力を拡大してきました。
水草水槽を維持し始めてからの最大の危機がやってきました。
メインが水草だけに、水草が駄目だと何の意味もありません…。

見るだけで嫌になるコケ達…
もうそこには「心奪われる」空間は無い

 とにかく、この黒髭を撲滅しなければなりません。
「いったい、どうしたらいいのだろう?」
アオミドロ撲滅で用いた方法は効果が無いことはわかっています。
水中の亜硝酸や硝酸濃度を下げるべく、濾過能力を活発にする方法は失敗しています。
全く持って新たな難敵の登場なのです。
 「こいつら(黒髭)は、いったい何を餌にして繁殖しているのだろう?」疑問が沸いてきます。
何故なら、水草の葉にがっしりと食い込んで見えたので、水草の養分を吸い取っているように見えたからです。
それに、黒髭に犯された水草は次第に弱り、やせ細っていくように見えたからです。
しかし観察を続けると、シャワーパイプや石の上等の無機質な場所にも繁殖しているじゃないですか。
 こうなると、無機質なものを食べているか、水中から養分を得ていることになります。
そこで黒髭だらけになったシャワーパイプをタワシでこすり、パイプを調べてみます。
「特に異常無し」
世の中にはプラスティックを養分にして生きていく微生物もあるので、もしやと思いましたが違うようです。
そうすると水中にある何かを養分にして生きてるとしか思えません。
「いったい、何だろう?」
この時の私はまだ明確な答えを持ち合わせていませんでした。

侵略

 3ヵ月もすると黒髭の侵略はますます度を越えてきました。「こうなったら薬品に頼るしかないな」と思うのでした。
私は「薬品」に頼る方法は推奨できません。
何故なら、薬品の使用は生態系のバランスを崩しやすく、ちょっとした弾みで水槽維持に支障をきたすからです。
そのために「強い水」を育ててきたのですから…。
それが、「肥料のテスト」という名目で、薬品(肥料)を投入し、悲惨な結果になりました。
もはや、私の水槽は「強い水」とは程遠くかけ離れたものとなりました。
水槽をリセットするより悲惨な状況かもしれません。しかし、リセットはいつでもできます(面倒くさいけど)。
だとしたら、「薬品に頼ってみるのもいいだろう…」という事で、巷で売られているコケ取り薬品の効果を試すことにします。

まず思いついたのが、「木作酢」です。近年になって「コケ取り効果がある」と騒がれているのでご存知の方もいると思います。
結論からいうと効果はありません。水中に木作酢を投入したぐらいでは何の効果も認められません。
そこで、石や葉に着いたコケに直接振り掛けてみます。
これは効果がありました。液をたらした部分のコケが数時間後に赤く変色をし、見ただけで枯れたことがわかります。
その後、赤く変色した部分のコケは姿を消し、コケの撲滅に成功しました。
そこで「木作酢」っていうので「食酢」でも同様なことを試してみました(木作酢の酢と食酢の酢は違います)。
これも同様の効果が認められます。
つまり、「pHを著しく変化させた効果」でコケが死滅したに過ぎません。これでは抜本的な解決とは言えません。
一々、全部の水草に対して同様のことを行うんじゃ意味が無いからです。それにうっかりすると水草を枯らすことにもなり兼ねません。
単に植物にとって悪いものを振り掛けている動作に他ならないからです。


お次は定番の「Tetra Algizit」の投入です。
観察すると、コケの繁殖スピードが落ちたように感じられました。
しかし、「劇的に効果がある」とも言いがたく、また他の水草の成長も悪くなったように感じられました。
「感じられる」という曖昧さは、私の水槽の状態が不安定な部分があるからです。
薬なのか環境なのか判断がつきにくい状況なのです。
Algizitの投入から1ヵ月、さほど効果が無いと判断した私は思い切った作戦に出ることにしました。
それは「コケも取るけど水草も枯らす」薬品の投入に踏み切ることです。
それほど、水槽内部は悲惨な状況だったと理解していただきたい。

 「水の素」という製品です。
この薬品の効果は以前使用したことがあり、十分知っています。
水草の無い水槽に「水の素」を入れておくと、数ヵ月間水替えをしなくてもコケが発生しません。
如何にも水草に悪そうです。
そこで、規定量の1/4程度に薄めて投入することにしました。
すると、3日後にはっきりと効果が認められました。
一部のコケが減少に転じ始めたのです。
完璧とは言えませんが、コケの増殖は押さえられているようです。しかも減少しています。
ところが、通常の水草にも影響が出始めました。水草が小さくなっていくのです。
「こりゃ、いかん」ってな感じです。そして1週間程度すると、水槽全体が寂しくなっていくような感じを受けました。
「中止!中止!」です。このままだと植物が根こそぎ無くなっちゃう…。
 その後が大変。いつもより多めに水替えをし、薬品の影響を食い止めなければいけません。
水槽を通常の管理体制に戻し数ヵ月、爆発的な黒髭の状態は脱出したものの、まだ多少残っています。
あいかわらず水草の成長障害も残っているようです。

 幾分すっきりした水槽に水草を新規に投入し、あいかわらず残っている黒髭と地味な戦いに突入しました。
どうやら爆発的な黒髭の増殖は止んだものの、「おそらく皆が悩んでいる程度の黒髭との戦い」が始まったようです。
コケが着かない水草もあれば、犯されている水草もある。黒髭は減りもせず増えもしない。しかし、水槽を見ると気になる程度はある…。
この間に試した薬品もあります。
「コケの粒子(胞子)を集めて大きな塊にし、濾過しよう」っていう商品です。
コロイド系の薬品です。
効果は「あるような無いような…」
少なくとも「黒髭には効果がある」といいがたいです…はい。
おそらく、アオミドロ系のコケには効果があるのでしょう。
類似商品に「アルミナ」を使用した商品があります。「アルミナ」に微粒子を吸着させて粒を大きくして濾過する仕組みです。
こちらも「黒髭には効果がある」といいがたいです。
あいかわらず、増えもしない(微妙に増える)減りもしない地道な戦いの日々です。
そんな状況が数ヵ月続きます…。

 次回は色々経験した結果、効果のあった方法を検証してみたいと思います。
最終的には撲滅に成功したのですが、どの方法が効果的だったのかは断定できません。
もしかして、運が良くて撲滅したのかもしれませんが、とりあえずということで…。

《参照:強い水(餌の与えすぎ)肥料と言うもの


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