CO2は本当に有効か？

• 「水草水槽を維持するならCO2（二酸化炭素）の添加は不可欠です」と良く聞きます。そして、多くの人は何も考えず、CO2添加を始めていると思います。
  また、「水替えをすることにより、水道水のCO2が働き、気泡が観察されます」とも聞きます。これは本当なのでしょうか？
  
  確かに、植物は、光と二酸化炭素で光合成を行い、その生成物である炭素を生成して成長しているように思われます。
  つまり、絶対にCO2は必要なのでしょう。
  これは頭で理解できます。
  
  ただ、本や話に聞く「CO2添加」はどうなのでしょう？
  本当にCO2を強制添加する必要があるのでしょうか？
  
  「水道水には二酸化炭素が融けている」…なら、強制添加も必要無いのでは？
  それとも、水道水の二酸化炭素では不十分と言うのでしょうか？
  
  これらの疑問に答えるべく実験してみましょう。
  
  
• まずは、水道水だ。
  
  その前に、CO2濃度を測る試薬を購入することにします。
  ←これです。Tetra製のCO2試薬（1890円）。
  まずこれを購入し、使用法をマスターします。
  使用法は付属の説明書に詳しく書いてあるのでここでは省きます。
  要は、色の変化で含まれているCO2濃度を測定できます。
  
  そこで、水道水をコップに採り、サンプルの準備を行いました。説明書にあるように測定すると、1リットル中６ｍｇのCO2が含まれています。
  次は静かに水道水をコップに注ぎます（CO2は発散されやすいと言うことで）。で、測定すると、８ｍｇ（気持ちでは７ｍｇ。２ｍｇステップでしか測定できないため）のCO2を測定できました。
  なるほど、水を静かに扱わないとCO2は発散されやすいようです。
  「コーラ等の炭酸飲料を振ると炭酸が抜けるの早いからなぁ」と妙に納得するのでした。
  
  
• 次は水槽のCO2濃度です。
  
  私の水槽ではCO2添加を行っているので、その濃度がどのくらいあるのか調べてみました。
  そこで、水槽の水を静かにすくい、測定開始。
  １２ｍｇ。「ん？、んんん…？」。理想的な濃度範囲ですが、何か釈然としません。
  そうです。気泡が上がっていないのです。「CO2を添加すると光合成により気泡が上がり奇麗…」本の言葉です。
  しかし、気泡なんてめったに見れません。水替えをしたときぐらいです。
  「水道水の二酸化炭素が光合成により気泡を…だから水替えは日中しましょう」と本に書いてあるのでそう思ってました。皆さんも思っていませんか？
  「じゃあ、気泡が上がる環境は？」ってことで実験すると３０ｍｌ以上の濃度が必要でした。本によると悪影響のでる数値です。
  数週間試しましたが悪影響は出ず、この間は気泡も盛んに上がりました。カボンバが間延びしてカッコ悪いですが。
  でもこの実験以外は１２ｍｌ程度に落ち着くようにCO2を調整しています。先に書いたように気泡は上がりません。
  
  これが、釈然としないことなのです。
  いいですか。水道水の水が６ｍｇ。水槽内の水が１２ｍｇ。
  で、水道水のほうが気泡が上がるのです。つまり、CO2濃度が低い水道水のほうが気泡が上がるのです。
  念のため、水替えを行った直後（気泡が上がっているとき）にCO2濃度を測定しました。８ｍｇ〜１０ｍｇ。
  やはり、CO2濃度は下がっているのに気泡が出ているのです。
  
  「気泡が上がることはCO2濃度と関係ないのでは？」と疑問を抱かざるを得ないのでした。
  しかも、水道水には少なくとも６ｍｇのCO2が融けている。「CO2添加も必要ないのでは？」と全てに懐疑的になるのでした。
  
  
• そこで、推測。
  水替え後の気泡は光合成の酸素ではない。じゃぁ何だ？
  
  まず、空気。水道水に融けている空気が膨張して気泡に見える。
  これは、水槽の縁にも細かい空気の泡が付いたことがある経験をしている人には納得できます。
  その空気の泡が葉に付いて気泡に見える。これも一因でしょう。
  
  次に水草内の気体（生成された酸素かもしれないし、他の気体かもしれない）。
  これは、明らかに葉の内部やトリミング（カット）された場所から気泡が上がるので。
  つまり、水替えによる急激な水質の変化によって浸透圧の違いから、細胞破壊が起こり気泡が流失する。
  まず、間違いないでしょう。
  
  その他の可能性として、急激な水質変化により光合成が促進された。
  
  私は、細胞破壊による気体流失が気泡の原因だと思います。皆さんはどうですか？
  
  
• じゃぁ、水替え無しに気泡を見るにはどうしたらいいのか？
  それは、光量です。しかも太陽光に近い光が必要です。
  つまり、通常に気泡を観察したければ光量を増やすことです。
  
  光量を上げる対策を取るなら水道水に含まれているCO2量で十分なはずです。
  水道水に含まれているCO2量は、光合成を行うのに十分な量があると思われます。しかも、魚が入っていればなおさら。
  
  本に書いてある「水道水のCO2によって光合成が起こり、気泡が上がる」は怪しいと思います。正確には「気泡を楽しみたいなら水道水を使え」ですね。
  また、「植物は二酸化炭素が必要です。だからCO2の強制添加を」の説明も怪しいです。
  
  まず、CO2添加の意味が誤認識されているように感じられます。
  
  
• CO2添加は何のため？
  一つの事実があります。それは、CO2添加をすると水草の状態が良いのです。確かに添加無しより良いです。むしろ添加しないと枯れる水草もあります。
  これは何でしょう？
  私は、「気泡が上がるのも、成長に必要なのも、水道水に融けている二酸化炭素量で十分だ」と書きました。
  でも、CO2添加しないと水草の成長が悪いのです。
  
  そこで私は、こう推測します。
  「CO2添加は水質を変えたり、維持するためだ」
  二酸化炭素は水に溶けると弱酸性になります。しかし、水道水は中性（ほんの酸性）です。私はここにヒントがあると思います。
  また、軟水か硬水の変化もあるでしょう。（とりあえずこれには触れません）
  

  ここに本がいくつかあります。水草のカタログ本です。これに水質とCO2添加の目安が載っていたら見てください。私の資料によると。 水質 1.弱酸性〜弱アルカリ性 2.弱酸性〜中性 の2種類の表記で間に合わせています。 二酸化炭素 1.不要 2.なるべく添加 3.添加 4.かならず添加 の4種類の表記があります。（もし、光合成のためにCO2が必要と言うなら濃度に違いがあることも変ですね） そこで、水質と二酸化炭素の関係を見てみると、 「弱酸性〜弱アルカリ性」は、不要か、なるべく添加。 「弱酸性〜中性」は、添加か、必ず添加。です。 つまり、弱酸性に（より）適している水草は「からなず添加」が多いのです。（注：多くの水草は弱酸性が適しています） このことから、水質を弱酸性に保つことが重要だとわかります。 そうです。CO2添加は、水槽内を弱酸性に保つためにあるのです。 水槽内の水はやがて、中性からアルカリ性に傾いていきます。それを弱酸性に留めるためにCO2の強制添加があるのです。（魚の排泄物があると酸性ですが、水槽が酸性化する前にアルカリに一度傾く。） 当然、二酸化炭素そのものの融解もあるでしょう。しかし、重要なのは、水槽内を弱酸性に保ち、水草を元気にし、そのために活発な光合成が起こる。このような図式が妥当です。

  　

• 植物は二酸化炭素によって成長していると思っていますが、これは少し違います。
  実際、植物が成長するのは夜です。つまり、酸素を消費しているときに植物は成長します。（暗くしないと成長しないことを示唆している）
  光合成は成長のために必要なエネルギーを溜めているに過ぎません。そして、その溜めたエネルギーを使用して酸素とともに成長するのです。
  必要な二酸化炭素量は水道水に含まれている量で十分です。水替えをきちんと行うなら、それだけで十分なのです。
  また、二酸化炭素（CO2）の強制添加は水質維持（変化）のために必要なわけです。
  
  水道水で気泡が上がるのは、
  弱酸性から中性への急激な変化による副産物。
  
  植物に必要な二酸化炭素は、
  水道水に含まれている少々の量で十分。
  
  と言うことです。
  「CO2添加は、光合成に必要な…」で始まる説明は「もっともらしいが違います」。
  エアーをぶくぶく行っても、上手に育てる人は水草を維持しています（弱酸性を特に好む水草は難しいが）。
  そして、水草に一番必要な要素は光です。次に肥料（魚の排泄だけでも十分、ただしカリは必要になる）。そして二酸化炭素です。
  閉じた水槽内でどうしても欠けてしまうのは光なのです。
  「上部濾過器はCO2を逃すので水草に不利」もちょっと違います（一番の理由ではない）。正しくは、「十分な光量を広く確保できないために不利」なのです。
  「もっと光を…」なのです。
  
  注意：実際にはCO2とペーハーと炭酸塩硬度には微妙な関係があります。
  CO2強制添加はペーハーと炭酸塩硬度の関係維持を主としているように思われます。（本ページではペーハーのみに言及しました。）
  液状のCO2添加用品を見かけますが、おそらくペーハーと炭酸塩硬度を下げて水槽内のCO2濃度を高める製品だと思います（ｐHとKHを下げる）。決して炭酸水が入っているわけではありません。
  

  
  本当の酸素の気泡は、植物の状態が良く、活発な状態を維持して、強い光が無ければ見られません。
  気泡を見られなくて悩んでいる人がいますが、多くの人は見ていないのが現実です。
  １０ｍｌ程度のCO2で気泡が上がるのが理想なのだろうか?　考えてみれば強烈な太陽の下で育っているのが本来の姿なんですね。
  気泡を見たければ、水替えで擬似的に見るのが現実的なのかもしれません。
  
  <-これは水替えによる気泡ではありません。
  ちなみに、私の水槽では気泡を見るためにどのくらいのCO2添加が必要なのか試したところ、1リットル中３０ｍｌ以上の濃度が必要でした。本によると２０ｍｌ以上は魚や水草に悪影響が出るとの事でしたが、2週間以上、異常は出ませんでした。これが私の水槽で測定時の水質だったんでしょう。
  ただし、カボンバが間延びしてカッコワルイです。
  それに小型ボンベではすぐにCO2が無くなるでしょう。
  

• 植物はCO2を添加したからと言って良くなるような単純なものではありません。
  光、水質、砂の状態、その他いろいろ（当然二酸化炭素も）。このような要素で決まると思ってください。
  
  この項は、皆さんから色々意見もあると思います。是非意見を広く聞きたいと思います。

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